ダイエットを前提に、賢く絞って賢く増やす
40代になると、同じ食事・同じ運動量でも体が思ったように変わりません。闇雲な食事制限や“とりあえず増量”は、脂肪だけ増えたり筋肉まで削ったりと逆効果。必要なのは、減量期→メンテ→小幅な増量期(リーンバルク)という“期分け”の設計です。
本記事では、安全な赤字/余剰のレンジ、PFC(三大栄養素)の目安、週平均体重と腹囲のKPI、切り替えのサインまで具体的に示し、最短距離で「締まって強い体」を作る方法を解説します。
この記事のポイント
- まずは減量(脂肪を落とす)を優先し、体脂肪を安全な範囲まで下げる。
- その後はリーンバルク(小幅な増量)で筋肉量を伸ばす。
- カギはカロリー収支の精度管理とタンパク質の確保、そして週平均体重と腹囲のモニタリング。
- 40代は回復力・関節のケアと睡眠が成果を左右する。
用語の整理
- 増量(バルク):筋肉量を増やす目的で維持カロリーより少し上で食べる期間。
- 減量(カット):体脂肪を減らす目的で維持カロリーより下で食べる期間。
- 増量期/減量期:上記を数週間〜数ヶ月の“期”として計画し、切り替えながら体を仕上げる考え方。
どっちを先にやる?(意思決定フロー)
- お腹周りが気になる/健康診断が黄色信号 → 減量から開始。
- すでに標準〜やや低めの体脂肪で、筋力も伸ばしたい → リーンバルクか維持+筋トレ(ボディリコンプ)を検討。
- 迷ったら原則は減量→維持→リーンバルクの順。いきなり大幅増量はNG。
カロリー設定(40代向けの安全レンジ)

- 減量期:維持カロリーの−10〜−20%(週あたり体重の0.5〜1.0%減を目安)。
- 増量期(リーンバルク):維持の+5〜+10%(週あたり0.25〜0.5%増)。
- 40代は脂肪が乗りやすいので小さめの余剰から始めるのが無難。
- PFC(三大栄養素)の目安(共通)
- P:体重×1.6〜2.2g/日
- F:体重×0.6〜1.0g/日
- C:残りのカロリーを割り当て
トレーニング設計(期で切り替える)
減量期
- 強度は落とさない(RMの70〜85%、RIR 1〜3を維持)。
- 総ボリュームは微減(各筋群/週のハードセットを−20〜30%)。
- 有酸素運動は短め×高頻度(20〜30分、週2〜4回)で心肺と消費を補助。
- 目的:筋力維持 ≥ わずかな向上+脂肪燃焼。
増量期(リーンバルク)
- プログレッシブオーバーロードを最優先(回数・重量・セットを段階的に)。
- 各筋群/週のハードセットは10〜20セットを目安に調整。
- 有酸素運動は最低限(週1〜2回)に抑えつつ、歩数8,000〜12,000はキープ。
- 目的:筋肥大とフォームの熟成。
回復・コンディショニング(40代の勝ち筋)
- 睡眠7〜8時間:就寝・起床を固定、寝る前のスマホ/アルコールを控える。
- 関節ケア:ウォームアップ(関節可動&軽負荷)、週1のデロードやメニューのローテ。
- NEAT(非運動の活動):減量期も歩数を死守。落ちると停滞の元。
- アルコール:回数と量に上限を。減量期は“0か少量”が正解。
モニタリング(毎日やらない、毎週まとめて見る)
- 体重:毎朝同条件で計測→週平均で評価。
- 腹囲:臍の高さで週1。
- 筋力ログ:主要リフトのベストとRIR感覚。
- 歩数・睡眠:週平均で管理。
- 判断は“週単位のトレンド”。単日の増減に振り回されない。
切り替えのサイン
- 減量 → 維持/増量:体重の落ちが停滞(2〜3週)、筋力が明確に低下、疲労感・睡眠悪化が続く。
- 増量 → 維持/減量:腹囲がハイペースで増える、見た目のキレが失われる、息切れ・だるさが増える。
- メンテ(維持)1〜2週を挟むと心身が整い、その後の期が伸びやすい。
例:体重75kg・維持2,400kcalの場合
- 減量期(−15%):2,040kcal
- P:150g(600kcal)/F:60g(540kcal)/C:225g(900kcal)
- 週2〜4の有酸素+全身筋トレ週3〜4
- 増量期(+7%):2,570kcal
- P:150g(600kcal)/F:70g(630kcal)/C:335g(1,340kcal)
- 有酸素は軽め、筋トレはボリュームを徐々に増やす
スケジュール例(24週間プラン)
- 減量 10週(−10〜15%)
- メンテ 1週(維持で疲労抜き)
- 減量 3週(仕上げ。落ちが鈍ければここでストップ)
- メンテ 2週(食事・睡眠リセット)
- リーンバルク 8週(+5〜7%。体重の伸びと腹囲を両睨み)
※ 途中で会食や出張が続く時はメンテに切替→落ち着いたら再開。柔軟に。
食事の工夫(期によって“食環境”を変える)
- 減量期:
- 高タンパク+低エネルギー密度(野菜・きのこ・海藻・汁物)で満腹感を確保。
- 間食はプロテイン+果物等でコントロール。
- 増量期:
- 消化の良い主食(白米・うどん等)を中心に、オリーブ油やナッツで適度にカロリーを載せる。
- 炭水化物はトレ周り(前後)に厚めに配分。
よくある失敗
- 余剰の盛りすぎ(=脂肪だけ増える)/赤字の盛りすぎ(=筋肉も落ちる)。
- 減量中に強度まで落とす(筋力と見た目が一気に萎む)。
- 週末の“帳消し食い”で平日の努力が吹き飛ぶ。
- 測らない/記録しない(主観だけで迷子になる)。
- サプリ頼み(基本は睡眠・食事・筋トレ)。
最後に(戦略の軸)
40代は「無理せず、でもブレずに」が最短ルート。
- 数字(カロリー・三大栄養素・歩数・週平均体重)を軸に、
- 期ごとに目的を一つに絞り、
- 回復と関節を最優先で積み上げる。
あなたの身長・体重・推定体脂肪率・生活リズムを教えてくれれば、具体的なカロリー設定と三大栄養素・週次メニューまで落とし込みます。