40代に入って、昔と同じ食事でも体重が落ちにくい。仕事と家庭で運動時間も取りづらい――そんな状況でも、痩せる原則はシンプルです。鍵は「カロリー収支」。
本記事では、維持カロリーの見積もり方から、10〜20%の赤字の作り方、外食・会食でも続く食べ方、停滞期の突破法までを具体的に解説します。数字で管理すれば、迷いは減り成果は積み上がります。
この記事のポイント
- 体脂肪は「摂取カロリー < 消費カロリー」で減る。例外なし。
- まずは自分の消費量(TDEE)を見積もり、10〜20%の赤字を作る。
- タンパク質は体重×1.6〜2.2g/日、脂質は体重×0.6〜1.0g/日、残りを炭水化物に。
- 体重は毎日同条件で測って週平均で判断。短期の増減は水分。
- 停滞したら「カロリー再計測」「歩数+NEAT↑」「メンテナンス期間(1〜2週)」。
カロリー収支とは?

- 摂取カロリー:食べ物・飲み物から入るエネルギー。
- 消費カロリー:
- 基礎代謝(BMR):生きているだけで消費(約60%)。
- 活動代謝(NEAT):日常の動き(歩く、立つ、家事)。
- 運動(EAT):トレーニング等。
- 食事誘発熱産生(TEF):消化吸収のコスト(約10%)。
→ 「入る」より「出る」が大きい状態を継続すると脂肪が落ちます。
自分の消費カロリー(TDEE)の出し方
- アプリや計算式で基礎代謝を見積もる(目安でOK)。
- 生活に合わせて活動係数を掛ける(デスクワーク1.4前後/立ち仕事1.6前後/よく動く1.8前後)。
- 2週間ほどの体重推移で微調整:
- 体重が横ばい=見積もりが維持カロリー。
- 目標より落ちが遅い=少しだけ摂取を下げる or 活動量を上げる。
キャッチ・マカードル
キャッチ・マカードル(Katch–McArdle)方程式は、除脂肪体重(LBM)に基づいて基礎代謝量(BMR/RMR)を推定する計算式です。筋肉量の差を反映できるのが特徴。式は次のとおり。
BMR = 370 + 21.6 × LBM(kg)
※LBM=体重 −(体重 × 体脂肪率)で算出します。
使い方(手順)
- 体脂肪率を推定(※以下の表を参照)
- LBM を計算:例)体重78kg・体脂肪24% → LBM = 78×(1−0.24)= 59.28kg。
- BMR を算出:370 + 21.6×59.28 ≈ 1,650 kcal/日。
- TDEE(総消費)は活動係数を掛ける:例)軽い運動(~1.55)→ 約2,560 kcal/日。

どれだけ赤字にする?
- 目安は維持カロリーの−10〜20%。
- 体重減少の目安は週に体重の0.5〜1.0%。筋肉を守りたい場合は**ゆるめ(10〜15%)**が無難。
PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)の目安
- タンパク質:体重×1.6〜2.2g/日(筋肉維持に必須)。
- 脂質:体重×0.6〜1.0g/日(ホルモン・体調維持)。
- 炭水化物:残りカロリーを割り当て。トレーニングの燃料。
具体例(体重70kg・男性、目標1900kcal/日)
- P:2.0g/kg=140g → 560kcal
- F:0.8g/kg=56g → 504kcal
- C:残り=1900−560−504=836kcal → 209g
食べ方のコツ(満腹感と継続性)
- 高タンパク質(鶏むね、赤身、卵、ギリシャヨーグルト、豆類、魚)。
- 低エネルギー密度(葉物・きのこ・海藻・汁物・果物)。
- 水分と食物繊維(1日20〜30gを目安)。
- **「ご褒美枠」**を少量残すと暴発しにくい。
- 外食は概算でOK。誤差は週単位で吸収。
記録と評価
- 体重:毎朝トイレ後、同条件。週平均で見る。
- 食事:最初の2〜4週間だけでも重さを測って学習。
- 活動:歩数目安8,000〜12,000歩/日。座りっぱなしを減らす。
停滞の乗り越え方
- NEAT低下対策:歩数・家事・立ち時間を意識的に増やす。
- 食事の見直し:計量の“甘さ”を1週間だけ引き締める。
- 睡眠・ストレス:睡眠不足は食欲↑、NEAT↓の原因。
- ダイエットブレイク:1〜2週間、維持カロリーで体調を整える。
- 運動:筋トレ2〜4回/週を軸に、有酸素は補助として。
よくある誤解
- **「糖質ゼロなら無限に痩せる」→誤り。**カロリー収支が本体。
- **「夜遅く食べると全部脂肪」→誤り。**総摂取カロリーが決め手。
- **「脂肪燃焼サプリで解決」→過度な期待は禁物。**まずは食事と活動。
1日のサンプル(例:1900kcal/P140g・F56g・C209g)
- 朝:オートミール+ギリシャヨーグルト+ベリー、卵2個、コーヒー
- 昼:鶏むね丼(雑穀150g・鶏むね150g・野菜たっぷり)
- 間:プロテイン1杯、果物
- 夜:白身魚の蒸し物、豆腐とわかめの味噌汁、大盛サラダ、少量のご飯
- 間(トレ後):バナナ or おにぎり小
実行チェックリスト(週1)
- ① 週平均体重は目標ペース内?(0.5〜1.0%/週)
- ② 平均摂取カロリーは設定どおり?
- ③ P・Fは目安クリア?
- ④ 歩数・筋トレ回数は計画どおり?
- ⑤ 眠気・便通・気分の体調指標は良好?
さいごに
ダイエットを科学(カロリー収支)×仕組み(記録・習慣)で回せば、感情に振り回されません。数字はあくまで仮説。体重の週平均の動きで調整し続ければ、必ず前に進みます。体調に不安がある場合や既往症がある場合は、医療・栄養の専門家に相談してください。